ドローンの飛行方法にルールがあるのを知っていますか?航空法ではドローンを飛ばすための安全の条件が決められています。
この記事を読むと、ドローンの飛行方法の「遵守事項」と「承認が必要となる飛行方法」を知ることができます。
2015年12月に施行された航空法の一部が改正され、ドローンやラジコン機、農薬散布ヘリなどの無人航空機の飛行禁止空域、飛行方法などの飛行ルールが制定されました。
この記事では航空法で決められた飛行方法をご紹介します。
遵守事項
アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
アルコール又は薬物の影響により当該無人航空機の正常な飛行ができないおそれがある間において飛行させないこと。
無人航空機に係る規制の運用における解釈について、具体的な例は次の通りです。
- アルコール飲料やアルコールを含む食べ物
- 麻薬や覚醒剤などの規制薬物、医薬品
を摂取し注意力や判断力が低下した状態でドローンを飛行させないこと
上記の状態で、公共の場所(道路、公園、広場、駅など)でドローンを飛行させた場合は1年以下の懲役又は 30 万円以下の罰金が科されるます。
飛行前確認を行うこと
国土交通省令で定めるところにより、当該無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整つていることを確認した後において飛行させること。
飛行前確認の具体的な例は次の通りです。
(1)当該無人航空機の状況について外部点検及び作動点検を行うこと
- バッテリー、プロペラ、カメラ等が確実に取り付けられていること
- 機体に損傷や故障がないこと
- 通信系統、推進系統、電源系統及び自動制御系統が正常に作動すること
(2)当該無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況を確認すること
- 飛行経路に航空機や他の無人航空機が飛行していないこと
- 飛行経路下に第三者がいないことの確認
(3)当該飛行に必要な気象情報を確認すること
- 風速が運用限界の範囲内であること
- 気温が運用限界の範囲内であること
- 降雨量が運用限界の範囲内であること
- 十分な視程が確保されていること
(4)燃料の搭載量又はバッテリーの残量を確認すること
- 十分な燃料又はバッテリーを有していることの確認
飛行前確認はチェックリストを作成して、記録を残しておくようにしてください。
航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するため、無人航空機をその周囲の状況に応じ地上に降下させることその他の国土交通省令で定める方法により飛行させること。
衝突予防の具体的な例は次の通りです。
無人航空機を飛行させる者は、無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域において
(1)飛行中の航空機を確認し、衝突のおそれがあると判断される場合
- 当該無人航空機を地上に降下させること
- その他適当な方法を講じることとする。
(2)飛行中の他の無人航空機を確認したとき
- 他の無人航空機との間に安全な 間隔を確保して飛行させること
- 又は衝突のおそれがあると判断される場合は、 無人航空機を地上に降下させること
- その他適当な方法を講じること。 ここで、「回避させること」とは、衝突する可能性のある方向とは別の方向に無人 航空機を飛行させることをいい、空中で停止することも含まれます。
他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
飛行上の必要がないのに高調音を発し、又は急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと。
「他人に迷惑を及ぼすような方法」とは、
人に向かって無人航空機を急接近させることです。
危険な行為なので絶対に行わないでください。
承認が必要となる飛行方法
夜間飛行
夜間飛行について航空法では次のように規定されています。
日出から日没までの間において飛行させること。
夜間は無人航空機の位置や姿勢、周囲の障害物等の把握が困難になります。夜間飛行は無人航空機の適切な制御ができず墜落等に至るおそれが高まることから、航空局の承認が必要になります。
「日出から日没までの間」とは、国立天文台が発表する日の出の時刻から日の入りの時刻までの間です。地域と季節に応じて「日出」と「日没」の時刻は違いますので注意してください。
【2021年7月1日の日の出日没時刻】
地名 | 日出 | 日没 |
---|---|---|
札幌 | 03:57:56 | 19:18:52 |
仙台 | 04:15:10 | 19:05:07 |
東京 | 04:28:02 | 19:01:23 |
名古屋 | 04:39:44 | 19:12:02 |
大阪 | 04:47:20 | 19:16:01 |
福岡 | 05:11:28 | 19:33:03 |
目視外飛行
目視外飛行について航空法では次のように規定されています。
当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。
目視の範囲内で飛行させる無人航空機の位置や姿勢を把握するとともに、その周辺に人や障害物 等がないかどうか等の確認が確実に行えることを確保するため、目視により常時監視を行いながらの飛行に限定されています。「目視」とは、無人航空機を飛行させる者本人が自分の目で見ることをいいます。
このため、次の監視は視野が限定されるため「目視」 ではありません。
-
- 補助者による目視
-
- モニターを活用して見ること
-
- 双眼鏡やカメラなどを用いてみること
30m未満の飛行
人または物件に近づく飛行について航空法では次のように規定されています。
当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。
飛行させる無人航空機が地上又は水上の人又は物件と衝突することを防止するため、一定の距離(30m)を確保して飛行させます。一定の距離(30m)を保つ べき人又は物件とは、次のとおりです
「人」は次の定義になります。
- 無人航空機を飛行させる者
- 関係者(無人航空機の飛行に 直接的又は間接的に関与している者)以外の者
「物件」とは、上記の人が所有又は管理する物件以外のもので次の定義になります。
- 中に人が存在することが想定される機器(車両等)
- 建築物その他の相当の大きさを有する工作物
物件についての具体的な例です。
自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾のクレーン等工作物
ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、 電線、信号機、街灯等
田畑用地、舗装された土地(道路の路面等)、堤防、鉄道の線路等であって土地と一体となっているものを含む。自然物
樹木、雑草 等
イベント上空飛行
イベント上空飛行について航空法では次のように規定されています。
祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。
多数の者の集合する催しが行われている場所の上空においては、無人航空機を飛行させた場合に故障等により落下すれば人に危害を及ぼす蓋然性が高いので、イベント上空以外の空域での飛行に限定することとしています。
イベントの具体的な事例は次のとおりです。
危険物輸送
危険物輸送の飛行について航空法では次のように規定されています。
当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。
無人航空機には、数 kg~10kg の物件を輸送する能力を有するものもあり、火薬類、高圧ガス、引火性液体等の危険物を輸送することが十分に可能です。 これらの物件を輸送する無人航空機が墜落した場合や輸送中にこれらの物件が漏出した場合には、周囲への当該物質の飛散や機体の爆発により、人への危害や他の物 件への損傷が発生するおそれがあるため危険物の輸送を禁止しています。
なお、当該飛行に必要不可欠で常に機体と一体となって輸送される物件は、輸送が禁止される物件に含まれません。
輸送できる危険物は具体的には次になります。
-
- 無人航空機の飛行のために必要な燃料や電池
-
- 業務用機器(カメラ等)に用いられる電池
-
- 安全装備としてのパラシュートを開傘するために必要な火薬類や高圧ガス 等
物件投下
飛行中の物件投下について航空法では次のように規定されています。
地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。
地上の人等に危害をもたらすおそれと、機体のバランスを崩すなど制御に支障をきたすおそれもあるため、物件投下は禁止されています。
輸送した物件を地表に置く行為
捜索、救助等のための特例
捜索や救助の飛行について航空法では次のように規定されています。
第百三十二条及び前条(第一項第一号から第四号までに係る部分を除く。)の規定は、都道府県警察その他の国土交通省令で定める者が航空機の事故その他の事故に際し捜索、救助その他の緊急性があるものとして国土交通省令で定める目的のために行う無人航空機の飛行については、適用しない。
事故や災害等の発生時における人命の捜索、救助等に支障が出ないよう、無人航空機の飛行の禁止空域や飛行の方法に関する規定の適用を除外されます。
特例が適用されるもの
- 国又は地方公共団体
- 国又は地方公共団体の依頼により捜索又は救助を行う者
この特例で無人航空機の使用者又は飛行させる者は、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれることがないよう、安全の確保を自主的に行う必要があります。
屋内での無人航空機の飛行
ネットフェンス内の空間は屋内
建物内等の屋内での飛行については、航空法第 132 条及び第 132 条の2は適用されません。
ここで、網等で四方・上部が囲まれた空間等についてもおくないとして扱われます。
- 四方・上部がネットで囲まれたフットサルコート
- 四方・上部がネットで囲まれたゴルフ練習場
- 四方・上部がネットで囲まれた他施設
まとめ
航空法で決められたドローンの飛行法をまとめると次のようになります。
【遵守事項】
- アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
- 飛行前確認を行うこと
- 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
- 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
【承認が必要となる飛行の方法】
- 夜間に飛行させる
- 目視外飛行させる
- 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)30m未満近づけて飛行させる
- イベント上空で飛行させる
- 爆発物など危険物を輸送する
- 無人航空機から物を投下する
【捜索、救助のための特例】
事故や災害時に飛行禁止空域や飛行の方法に関する規定が除外される。
- 国又は地方公共団体
- 国又は地方公共団体の依頼により捜索又は救助を行う者
【屋内での無人航空機の飛行】
- 網等で四方・上部が囲まれた空間は屋内として扱われる